Doctor’s Blog About Brain And Heart

”脳と心” の関係について

Entries from 2022-01-01 to 1 year

【回想的記憶と展望的記憶はどのように異なるのか】

回 想的記憶とは読んで字の如く ”過去を回想するような記憶” であり,一般的に記憶という言葉を聞いて人々がイメージするようなものである.展望的記憶とは将来的に行うべき事柄に対する,言わば ”予定の記憶” である.これら2種類の記憶は,認知的活動とし…

【行為的記憶と言語的記憶の差異,その比較手法等について】

行 為的記憶は主にSPTs(subject performed tasks:被験者実演課題)によって研究されている.SPTsとは簡単な行為文の提示,被験者によるその行為内容の実演から構成される小課題である.SPTs条件において被験者は,行為文を実演した上で,その後再認や再生…

【閾値説と再生の2段階説,及び再認成績が再生成績を下回るような状況について】

再 生(recall)とは,前段階で学習した記銘項目を再生成する形式の記憶テストであり,主に自由再生法と手がかり再生法に分けられる. ・自由再生法とは,外的に与えられた検索手がかりのない状態で記銘項目を再生するテストであり,このテストでは解答が順…

【二重課題の遂行における自動的過程と制御的過程のパフォーマンス差異について】

二 重課題とは,異なる2つの課題を同時に遂行することである.例えば聴こえてくる文章を復唱しながら計算問題を解く,といった課題も二重課題を言える.一般にこの二重課題は何度が高いとされる.これは複数の課題を行う際には必ず,それぞれの課題に注意資…

【単一特徴探索と結合探索における被験者のパフォーマンスの差異について】

あ る特定の特徴に基づいて目標刺激を探す行為を単一特徴探索という.一方複数の特徴を組み合わせて持つ目標刺激を探す行為を結合探索という.例えば複数の正方形の中から一つの円を探し出す場合,これは対象の形状のみを特徴として探索行為を行なっている.…

【早期選択説と後期選択説の相違について】

我 々はざわついた喧騒の中でも,話し相手の声に選択的に注意を向け,その発言内容を正確に認識することができる.心理学ではこのような現象をカクテルパーティー効果と呼ぶ.このような外界からの情報の取捨選択は,人間の情報処理過程のどの段階で行われる…

【顔認知の特異性と神経生理学的見地からの考察】

我 々人間は ”顔” という様々なパーツの集合,つまりはパターンを瞬時に認識し,人物の同定の他,性別,年齢,表情による感情の推測など様々な処理を行うことができる.この複雑にして極めて高度な処理を特に ”顔認知” と呼ぶ. 脳 の活動として顔認知は,他…

【グローバル形態とローカル形態の処理における順序的優位性について】

外 界における視覚情報には様々な階層構造が存在する.例えば我々がある部屋をリビングルームだと認識するとき,テレビがあり,そのリモコンがあり,カーテンがあり,食卓を囲むためのテーブルがあり,照明がありと多岐にわたる要素を瞬時に処理し,それがリ…

【並列分散処理モデルの特性とその実用について】

並 列分散処理(parallel distributed processing : PDP)モデルとは,脳神経回路を模倣した情報処理モデルである.ニューロン(神経細胞)を模した ”ユニット” とそれらを相互に連結する ”結合” によって構成される. ユ ニットは刺激の入力に伴って活性化…

【データ駆動型処理と概念駆動型処理の差異,及びその相補的作用について】

データ駆動型処理(ボトムアップ処理)とは,あくまで外界からの入力刺激を解釈することで終了するような処理である.知覚した情報を処理することにより生起し,対象の物理的特性に大きく影響される. 概 念駆動型処理(トップダウン処理)とは,個人の有す…